|
野沢太三法務大臣の発言です。 ■ 「個人的には同じ方がいい」(2004年2月17日 閣議後の記者会見にて) 自民党有志議員が限定的に夫婦別姓を実現するための民法改正案を今国会で提出しようとしていることについて質され、この発言が出ました。まず個人の意見とことわっていても、法務大臣が個人の意見を述べるのは不適切です。致命的なのは、この発言は法務大臣でありながら、1996年法制審議会答申に反していることです。この発言で野沢大臣の不勉強さが露呈し、翌日野党から攻められる口実を与えてしまいました。(参考:法務省 定例記者会見 平成16年2月17日) ■ 「御指摘のとおり、法務省といたしましては、平成八年の法制審議会の答申を受けまして、少しでも多くの方の御理解を得られるようにと努力を続けてきたところでございます。 しかし、この問題は、現在もなお、婚姻制度や家族のあり方と関連する重要な問題でありまして、国民各層や関係方面でさまざまな議論があることを承知しております。これを踏まえまして、大方の国民の皆様の御理解を得ることができるような状況で法改正を行うことが相当ではないかということで、今後、この問題についての与野党含め関係方面での御議論、特に国会における議論の一層の深められることを期待しまして、それを受けて私どもとしても取り組みたい、かように考えております。」(2004年2月18日 衆議院予算委員会) 発言翌日、衆議院予算委員会で民主党小宮山洋子氏より、「自民党の中でもいろいろな動きがあると聞いているんですけれども、政府として積極的に取り組むおつもりはないのか」と質されることになりました。そこで回答したのは上記の通り、これまでの常套句でもある消極的で慎重な発言でした。ただ、法制審答申にも触れ「少しでも多くの方の御理解を得られるようにと努力を続けてきた」とも発言しているため、前日の発言の後に法務省からお灸を据えられた、いや、過去の経緯や問題点などを多少は再考したのかもしれません。(参考:衆議院予算委員会 第159回 平成16年2月18日 第12号) ■ 「選択的夫婦別氏制度導入の問題につきましては、法務省としましては、平成八年の法制審議会の答申の内容を踏まえながら、少しでも多くの方の御理解を得られるように努力を続けてきたところでございます。しかしながら、この問題は現在もなお婚姻制度や家族の在り方と関連する重要な問題でありまして、国民各層や関係各方面で様々な議論があることを承知しております。法務省といたしまして、このような議論を踏まえまして、大方の国民の御理解を得ることができるような状況で法改正を行うことが相当であると考えております。今後、この問題についての関係各方面での議論、特に国会における議論が一層深められることを期待しまして、それらの議論を受けて取り組んでまいるつもりでございます」(2004年3月8日 参議院決算委員会) 衆議院に続いて参議院でも追撃がありました。円よりこ氏の「夫婦別姓については大臣は、もう一度法務省の方で閣議にお出しになろうというお気持ちはないんでしょうか」という質問に対して回答したのが上記の文章です。見事なくらいに判で押したような従来の回答ではありますが、後ろ向きには見えなくもない内容です。特筆すべきは夫婦別姓ではないものの、婚外子の表記をめぐる戸籍続柄裁判の判決後には「そろそろこの辺は前進させるべきときが来ていると思っております」との発言もありました。「この辺」とはおそらく戸籍上の続柄を指しているようですが、民法改正について前向きな発言が法務大臣から出たのは明るい要素です。(参考:参議院決算委員会 平成16年3月8日 第3号) ■ 「与党内で慎重論議を」(時事、2004年3月12日) でも手のひらを返されてしまいました。自民党有志である「例外的に夫婦別姓を実現させる会」(会長 笹川堯)が中心となり自民党法務部会で議論をしたら、反対派の猛烈な抵抗に遭い国会提出は困難となりました。この法務部会後の野沢大臣のコメントが上記の通りです。国会内では「特に国会における議論が一層深められることを期待」と言ったばかりなのに、「与党内で慎重論議を」とは対照的な答えです。 |
|
|---|