2色のガーベラ 夫婦別姓資料館

2002年6月5日 衆議院法務委員会にて

第154回国会、衆議院法務委員会(2002年6月5日)で民主党の水島広子氏が森山法務大臣に対して法案提出を断念したことについて質問したやりとりを抜き出します。

○水島委員 民主党の水島広子でございます。
 本日も、まず大臣に選択的夫婦別姓の問題についての質問から始めさせていただきたいと思います。昨日の記者会見で、大臣が政府としてのこの法案提出を断念したと述べられたというふうに伺っておりますけれども、まずそれが本当であるかどうかも含めまして現状を教えていただければと思います。

○森山国務大臣 選択的夫婦別姓については、水島先生初め多くの議員の方、また世論の中でも、大変支持していただく、積極的に進めろよというお話もたくさんいただいてまいりまして、世論調査もそのような傾向を示していたわけでございます。
 したがいまして、法務省といたしましても、そのような方向でぜひ政府提案をしたいという考えを持ってまいりましたが、政府提案をいたしますのにつきまして、まず与党の御了解を得なければなりませんが、この問題については、自民党初めほかの党の中にも、いろいろ議論がなお十分に詰まっていないというところがございまして、特に自民党におきましては大変熱心な御議論を重ねてきていただきました。部会長その他、関係の議員の皆さんには大変御苦労をいただいたわけでございますが、まだ今の段階では一つの立場に意見を集約することができないというようなお話をお聞きいたしましたので、これは政府提案をするということは困難かなというふうに思ったところでございます。
 そのような状況であるということは私としては大変残念でございますけれども、政府提案という形でこれをお願いするというのは難しいかなということをきのうちょっと申し上げたわけでございます。

○水島委員 例えば先日提出されました郵政関連法案のように、議論が一定の結論を得られないままに提出に踏み切られたという法案もこの内閣にはあるわけでございますけれども、なぜ郵政関連法案にはそれができてこの選択的別姓にはできないのかというあたりはいかがなんでしょうか。

○森山国務大臣 郵政の法案とこれは全く質の違うものでございますので、同じようにというのはちょっと無理かなと思いますし、特にこの選択的別姓の問題は、家族のあり方とか、そのことに対する国民の意識とか、そのような問題に深くかかわっていることでございますので、ちょっと郵政と同じには論じられないというのが基本にあるかと思います。

○水島委員 ただ、本当に構造改革ということで申しますと、私は、ある意味では最も重い法案なのではないかとも思っておりますし、郵政とは違う問題では当然ございますけれども、この点に関してもしっかりとリーダーシップを発揮されて、多少の反対論はあっても、正しい方向性であると信じられて、毅然と政府として提出されることを本当に心から期待申し上げていた立場でございます。
 今回、与党の了解が得られなかった、意見を一つにまとめることができなかったということでございますけれども、反対される方たちの御意見というのはいろいろなところで今までも伺ってきておりますけれども、今回主に反対されていた方たちの御意見はどのような論拠であったのか、そして、それらに対して法務省としてどのような説明や説得をされてきたのかということを教えていただきたいと思います。

○房村政府参考人 夫婦別氏制度に反対する根拠といたしましては、種々ございますが、やはり一番大きいのは、家族のきずな、一体性が損なわれるのではないかという点、それからもう一つ、親子が氏が違うことによって子の福祉に悪影響を及ぼすのではないかということ、それから、やはり夫婦が同じ氏を称するのは我が国の伝統である、軽々に変えるべきではない、大きく言いますと大体その三つが主要な反対論かと思います。
 私どもとしては、これらにつきまして、まず、家族のきずなを弱めるという点につきましては、家族のきずなあるいは一体性というものは法律で氏の統一を強制するということによって成立するようなものではない、やはり家族を構成する人々相互の愛情あるいは思いやりというものによって一体性というのは保たれるはずだということを御理解いただきたいという説明をしてきたところでございます。
 それから、子の福祉の点でございますが、これにつきましても、同氏にすることが非常に困難で、やむなく事実婚のままいらっしゃる方々もいるわけですが、そういう場合には子供の法律的地位についても非常に悪影響を及ぼすわけでありまして、そういったことと比べれば、別氏にして安定的な法律婚を達成するということにした方が子の福祉にとっても積極的な意味があるわけでございます。
 また、親と氏が違うということによっていじめに遭うのではないかというような御懸念も示されたところでございます。そういう懸念も全くないとは思えないわけでありますが、ある意味では、まさにそういうような差別意識をなくしていくということこそが求められているのではないか。やはりそういう多様な生き方が世の中にあるんだということを社会が受け入れて、そういう社会にすることによって子の福祉に悪影響を及ぼすようなことを防いでいくということこそが求められているのではないか、こういうような御説明もさせていただいているところでございます。
 また、伝統という点につきましては、確かに明治以来この同氏制度がとられてきたことは事実でございますが、さらに昔をさかのぼれば、明治に夫婦同氏制度がとられるまでは日本においては別氏の制度が長く続いていたわけでございますし、これについては、必ずしも日本において同氏だけがとられていたわけではない、こういうような御説明もしてきたところでございます。

○水島委員 本当によい御説明だと思います。
 ところが、今議場からもやじが飛んでおりますように、このようなすばらしい御説明を伺ってもなかなか説得されない方が今多いというのがこの結果を招いたのではないかと思いますけれども、大臣の率直な御感想として、反対議員という方は説得可能だと思われますでしょうか。そもそも説得が可能なのか、あるいは、そのような議員が国会からいなくならない限りこの法案というのは成立しないんだろうか。このあたり、市民運動をされている方たちも運動論の焦点をどこに置くべきかということでずっと悩んでいらっしゃるわけですけれども、率直に大臣はどうお考えになりますでしょうか。

○森山国務大臣 今、民事局長から御説明申し上げたような議論で反対していらっしゃる方は、もう最初からそうなんですね。
 それで、この話が表に出てきてから、平成八年の法制審議会の答申から考えますと六年近くたっているわけでございますが、その間にそのような議論をずうっと続けてきまして、最近では、選択的というのを例外的というふうに表現して、内容もそのようなやり方にしてはどうかというような案もお示しいたしまして、御理解いただく方が次第にふえてはいらっしゃるんですけれども、どうしても、どんなやり方でも絶対反対とおっしゃる方がまだかなりの数残っておられまして、その衝に当たっていただく党内の関係の議員の皆さん方には大変御苦労いただいております。説得というのは大変難しいのではないかというふうに思っております。

○水島委員 そのような現状分析を踏まえまして、大臣としてこの事態をこれからどういうふうにされていくおつもりかということをお伺いしたいと思います。
 きのうの記者会見では、議員立法に期待したいというような趣旨のことをおっしゃったと伺っておりますけれども、議員立法といえば、私たちも既に継続審議中の法案を提出している立場でございますけれども、具体的にどの法案をどういう形に成立させていくということを念頭に置かれて、議員立法に期待したいというふうにおっしゃったんでしょうか。

○森山国務大臣 先生方が御提案いただいている法案があるということは承知しておりますが、私といたしましては、現在、政府提案をいたしたいと考えていた内容が最も現実的で、一番ふさわしいといいましょうか、ベストの案だというふうに思っておりますので、そして、それを支持していただく与党の先生方、またあるいはほかの党の先生方もかなりの数いらっしゃるというふうに聞いておりますものですから、そのような形になっていただければ大変私としてもありがたいなというふうな感じでございます。

○水島委員 本当にこの成立を長年待っている方たちからすれば、当然政府提出が最も望ましいですけれども、議員立法でも何でもいいからとにかく成立させてくれというのが本音の意見であると思いますので、引き続き大臣には、ぜひしっかりとこの運動の先頭に立って御尽力いただけますようにお願い申し上げます。

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