一言で表すなら「議論が膠着しているから」ではないでしょうか。多少の進展はあるものの、推進させたい側と阻止したい側で議論が終結せず、妥協点もまだ見出せない状態です。
では議論の場はどこかというと、完全に自民党内です。自民党以外はまるで議論に関与できません。なぜなら、自民党が国会で「過半数=絶対安定多数」を握っているからです。この意味はどんな議題でも自民党の意のままということです。野党が法案を出しても、自民党が反対すれば数で敵わないからです。慣習的には、自民党では国会での採決は党が判断し議員に指示します。それぞれ議員が独自に判断し、バラバラに投票することは滅多にあり得ません。指示に背きたければ採決の場を欠席、退場などします。それだけでもニュースになります。
自民党内のどこで議論されているかというと、部会です。自民党では慣習的に法案は内閣提出法案でも議員提出法案でも事前審査を行います。その事前審査の順番は、1.部会 → 2.政務調査会 → 3.総務会 という順番になります。その後で幹部の了承を経て、国会対策委員の判断も含めて国会に提出されます。最初のステップとなる部会は自民党議員なら誰でも参加OKで、全会一致が原則です。今のところ毎年、法務部会で夫婦別姓を採りあげていますが部会での結論は出せていません。
自民党の法務部会で議論が滞っているのが現状です。現状の袋小路から脱出して夫婦別姓が国会で審議されるようにするには、(1)自民党が絶対安定多数を失うか、(2)自民党が事前審査のルールを変えることのいずれかです。または(3)自民党内での議論に決着がつくかです。いつまでも自民党の外に議論を広げないとなると問題がいつまでも解決しません。それはつまり、結婚改姓による不利益は解消されず、事実婚が増加し、少子化にも歯止めがかからない等の諸問題が放置されるということです。
参考までに野党が法案を提出するとどうなるかというと、自民党は絶対に目もくれません。実際に野党は夫婦別姓の実現を含んだ民法改正案を毎国会ごとに提出しています。自民党のように党内で結論が出せないのではなく、ちゃんと国会に提出しているのです。しかし2003年の通常国会法務委員会では参考人招致がやっとで、審議などされず、採決など夢のまた夢でした(明らかに負けますし)。国会審議の行方をすべて握ることが与党の特権なのかと疑問が残ります。
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