2色のガーベラ 夫婦別姓資料館

民法改正案には大きく分けて3つの流れがあります。自民系、野党系、公明系です。法制審答申をフルセットとすると、それ以降に提出されたものはサブセット(抽出版)となっています。法制審答申の項目を基準に比較します。

項目法制審自民案野党案公明案
婚姻の成立
婚姻の取消
夫婦の氏(夫婦別姓)家裁許可制
子の氏(決定時期)婚姻時婚姻時出生時出生時
夫婦間の契約取消権
協議上の離婚
裁判上の離婚
失踪宣告による婚姻の解消
失踪宣告による取消と親権
10相続の効力(婚外子相続差別撤廃)
11戸籍法の改正(○)(○)(○)
(12)夫婦別姓の経過措置1年なし2年1年

(○):明示はないが、戸籍法は民法の下位法なので自動的に発生?

自民系

 自民系は与党なので、法制審答申が出てから政府案での提出を試み、反対派に譲歩しながら(野田聖子氏曰く)「ピカチューのように」変化を遂げています。自民党内では特に婚外子相続差別撤廃に反対が強く(漏れ聞くところでは扇氏など)、まずは夫婦別姓のみに絞りました。全員強制的に別姓になると勘違いする人がいるので「選択的」と明記し、それでも抵抗が強く、原則は同姓と示すために呼称を「選択的」から「例外的」とし、それでも抵抗が強く、ついに政府案は見送りとなりました。

 政府案の次には議員立法でいくことにしました。議員立法だと多少立法のハードルは低くなるものの、自民党内で審査を経る過程はほぼ同じです(この点では国会法が機能していないと河野太郎氏は2004年3月13日号メルマガで批判しています)。ただ、反対派に譲歩して家裁許可の要件をつけたために法制審答申の内容と違いが出てしまい、それだと政府案として提出できないそうです。政府案を諦めた理由は家裁許可の要件をつけるうえで避けられなかったようです。

 政治の背景も影響しています。法制審答申が出た1996年当時は「自社さ」政権の村山内閣で消費税引き上げ(3→5%)や住宅金融専門会社(住専)処理で民法改正どころではありませんでした。今でも自民党内では民法改正案は野党(旧社会党や共産党系)の色が濃いという印象があり、毛嫌いされることがあるようです。議論がなかなか民法改正の本来の趣旨に到達しないのが残念です。

 自民の外では国連の女子差別撤廃条約、日弁連の声明、世論調査、男女共同参画基本法などの後押し要因はありながらも、自民内で理解が得られず阻止されているのが現状です。

野党系

 野党系は経過措置が長めであるなど、法制審答申よりも少し気前がよい内容です。審議未了のまま解散で廃案になっても、何度も粘り強く提出しています。内容はずっと同じです。それでも吊されたままで審議されることはありません。せいぜい、参考人聴取にとどまっています。

 民主党は最も意欲的であるように見受けられます。枝野氏、水島氏ほか、熱心な推進派がいますし、政策集でも夫婦別姓を掲げています。他にも理由や背景は多様ですが、社民党、共産党も方向性としては一致しています。ただし民主党内には反対派もいます。一時期は民主党内でも「夫婦別姓を慎重に考える会」ができたこともありましたが、推進派議員の説得、メンバーの保守新党への流出(山谷えり子氏ら)、総選挙での落選(吉田公一氏)など、勢力は弱まりました。しかし旧自由党から合流した西村真悟氏などは前から夫婦別姓に反対をしています(気が変わってくれればいいのですが)。

公明系

 公明党は限りなく野党案と同じです。公明党には弁護士が多く、法律的な意味がよく理解できる人が多くいます(むしろ自民が法律専門家の割合が少なすぎるともいえます)。2003年の衆議院解散まで公明党案(衆法 151国会 54号)がありましたが、現時点で未提出です。マニフェストに夫婦別姓と明記したのは公明党だけなのに単独で法案を出さず「与党調整が課題」とは、実績としては公明党が一番さみしい結果に見えます。

 ただ一応補足すると、公明党は自民党の議員立法にある家裁許可制には快く賛成ではないものの、夫婦別姓の実現には前向きです(公明新聞2003年1月14日)。公明党女性局の2004年3月10日付けニュースによると、国会に提出されれば数年以内の見直しを条件に賛成するとあります。公明党案が出ないのは自民党案を支持(合流?)するからなのかもしれません。

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