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自民党元衆議院議員の高市氏が推進してきた通称案にあたる法案は自民党法務部会には提出されていません。高市氏は2003年の衆議院選挙で落選し、法案を引き継ぐ人もなく、法案は未だに部会には提出されていません。今後も提出されることはないでしょう。法案が提出されない理由は高市氏の不在だけではありません。高市氏の構想では本来の要望を満たし、かつ法律として成立させることは無理だからです。 ■ 引き延ばし工作として出すフリを続けた高市氏 民法改正案として1996年には法務省法制審議会から答申が出ています。これは法務大臣の配下で法律の専門家があらゆることを考え抜いて出された結論です。もちろん高市案のようなケースも検討されました。法制審答申とは当局としての法務省が考案した民法改正案であり、法務省が推す案です。そうした綿密に熟考された法案があるのですから、それに代わる案を議員立法で出すというのなら法務省を納得させるだけの内容が伴わなくてはなりません。 高市案の構想が部会で提案された後、法務省や法律の専門家が高市案の法律的な問題点を指摘したはずです。彼女がそれらの説明をちゃんと理解できたかは知る由もありませんが、恐らく出しても通らないことは理解したのでしょう。だからこそ、出していないのです。しかし「私は働く女性のために法案を準備しているんです」と報道陣に言い続けることは止めませんでした。 ではなぜそうやって出せるような振りをしたのか。出したら法的な問題点を指摘されて却下されるからです。出したら負ける、そして負けたら反対派として幕引きを迫られることを恐れたのでしょう。だからこそ、延々と引き延ばし工作として「対案を準備している」と言い続けたのです。 そうした姑息な引き延ばし工作は、高市氏が国会を去っても他の議員が引き継いでいます。2004年自民党法務部会では「(対案は)心の中にある」ととある参議院議員が言ったそうです(漏れ聞くところでは保坂三蔵氏)。通称案があるというのなら、心の中に暖めておくだけではなくちゃんと公表して議論するべきです。 ■ 公的書類に通称とは概念矛盾 通称案の根本的な問題点は概念矛盾であるということです。要するに、発想として全く頓珍漢であるということです。 高市氏の案は、戸籍に旧姓を併記してそれを社会のあらゆる場面で使えるように便宜を図るというものです。しかし、公的書類に記載されるということは、もはや通称ではなくなります。立派な公称です。「通称」案ではありません。 通称とは公称ではない名前を意味するのに、公称として機能させようとするのだから、さっぱり日本語の概念としても成立しません。通称とはあくまでも公的な書類以外で使う名前のことを言うのです。 |
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