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■ 1人の人間に2つの本名 通称案の構想によると、戸籍には結婚改姓した氏(高市氏は「統一氏」や「ファミリーネーム」などと呼びます)と旧姓が併記されることになります。社会生活上使えるようにするという構想から考えても、本名として機能させようと考えているのは明らかです。そうなれば事実上は1人の人間が2つの本名を持つことになります。 本名とは、個人を識別する不変的な情報です。住所や電話番号のように可変的なものとは違います。また本名とは1つでなくてはなりません。「私の本名は山田でもあるけれど、佐藤でもある」などというのはあり得ません。 余談ながら「統一氏」や「家名」という項目は戸籍にはありません。戸籍全体で統一した氏を要望することが本来の目的なら、戸籍に追加しなくてはならないのは「旧姓」欄よりむしろ「家名」という項目になるのではないでしょうか。しかし戦前の家父長的な家制度が無くなったにもかかわらず、家名欄を必要とする法的な理由が存在しうるのか、持つとしてもどんな法的な効力がありうるのか疑問です。例えば墓石に刻む名前にしても、公的書類に書くことではありませんし。 ■ 運用と法制化は著しく困難 そんな2つもある本名では身元確認ができません。銀行で口座を作るとき、会社を登記する時、駐車違反をとられた時、どちらの名前を使うのか。まるで指針がありません。どちらでも気分に合わせて使い分けられます。まさか常に併記もないでしょう。そうなったら社会は大混乱です。ですから法務省も警察も2つの本名を持たせるなどという発想を許可するとは絶対に考えられません。社会運用上、安全上、とても危険だからです。 さらに1つの人間に2つの公称があるということを法制化し、関係法律全てに反映させるのは著しく困難です。高市氏は「戸籍法13条と74条の改正」だけで済むと言っていますが、誤認です。法律の研究が足りないのではないでしょうか。 高市氏の構想を法案化するなら、既存の法律を400あまり改正しなくてはならないと、検事経験のある自民党佐々木知子参議院議員は指摘しています。通称案の方がはるかに法制化には労力が要ります。 もちろんどんなに労力が必要とされても、意義のあることならやらなければなりません。しかし、高市氏や反対派が解決策として通称を挙げるのは法的な知識不足による安直な発想でしかありません。
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