2色のガーベラ 夫婦別姓資料館

婚姻制度の危機は確かにあると考えていいでしょう。しかし、夫婦別姓が婚姻制度を崩壊に追いやるのではなく、むしろ逆で、夫婦別姓を婚姻制度に組み込まないことこそが婚姻制度を崩壊へと追いやるのです。

現在の憲法が定める婚姻制度とは両性の合意によってのみ成立するのが基本です。戦後には、明治時代の民法で定めた家制度は全面的に否定され、民法の家族法部分は大幅に刷新されました。リニューアルされたのです(ただし意識には根強く残っているようです。でも現行法を正しく把握していないなら、民法が改正されても関係ないような気がしますが)。

反対する人が崩壊を懸念する婚姻制度とは、いわゆる旧民法の「妻は婚姻に因りて夫の家に入る」に基づく概念や、夫婦同氏という外観が主です。しかし旧民法の婚姻規定が特にそうですが、それは崩壊しつつあるどころではなく、すでに半世紀以上も昔にリニューアルされたのです。

現代に目を向けましょう。現代の日本で制度が考える結婚、つまり婚姻とは法律婚主義です。これは法的な意味を持つ結婚とは法律が定めるという意味であり、具体的に法律で定められていることとは届出により婚姻が成立するということです。法律婚主義とは届出主義と言い換えてもいいでしょう。日本ではいわゆる「紙切れ一枚」で婚姻も離婚もその場で成立する国です。実態や精神的な絆がどうあろうともです(ちなみに法律婚主義以外には、挙式で婚姻が成立する儀式婚主義や、実態を重視する事実婚主義などがあります)。

現状の民法750条では夫婦の氏をどちらかの氏に選ばなくては婚姻は成立しません。どちらかが改姓することで不都合が生じる夫婦は婚姻を諦めざるをえません。

幸か不幸か、最近では法律婚夫婦(婚姻届が受理された夫婦)ではない夫婦でも、夫婦に準じる扱いが増えてきています。法廷では結婚の実態が加味されたり、住民票の「夫/妻(未届)」があれば夫婦として扱う場面も増えてきました。完全ではありませんがそこそこ婚姻の権利と義務が受けられるなら、わざわざ改姓という代償を払わない夫婦が増えてくるのは必至です。

制度が意固地(夫婦別姓を容認しない)であるゆえに、結婚の実態が法律婚から事実婚へシフトしていくことになります。これは婚姻制度が形がい化するということを意味します。

残念なことに日本では個人は法律や社会に服従するという感覚が強いようですが、本来ならば、制度も法律も人間ありきです。もし婚姻制度を社会で機能させ、継続させたいのであれば、実情に即した形へ改良していくべきです。

そうでなければ、これから結婚する夫婦は法律婚を選ばなくなります。夫婦別姓が婚姻制度を崩壊させるのではなく、時代の要望に応えずに夫婦別姓を法制化しないことが、ますます婚姻制度を崩壊へと追いやることになるのです。

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