2色のガーベラ 夫婦別姓資料館

 旧姓のままでいたいと望むことを離婚の準備段階と見る人もいるようです。または氏を変更しないことで、対外的に結婚した事実が伝わりにくいことを懸念する人もいます。「すぐに離婚するつもりだ」「離婚後に旧姓に戻す手続きを減らすためだ」等々、どうしてそういう妄想に脅えるのか理解不能ですが、そうした主張は証明不可能です。現実的に考えて、もし婚姻届を出す時点ですでに離婚の危機があるなら婚姻届の提出を中断するのではないでしょうか。

 逆の考えもあります。夫婦別姓を望むのは、苗字の一体感とは別に夫婦としての絆を重要視しているのだからかえって二人の絆は強く真剣であると。実際に長年仲睦まじく事実婚をしている夫婦もいます。いずれにせよ、婚姻届を出す時点でこの先離婚するかどうかなど、神のみぞ知るです。家族の絆と同様に夫婦の絆も一概に判断できるほど易しい問題ではありません。

 それだけではありません。まっとうにお互いを信じ合い、法律的に認められた婚姻関係を望む二人にとって「離婚する気だろう」と疑いを持たれることは辛いことです。二人の信頼関係を否定するのですから、これほど辛辣な誹謗はありません。こういう疑いには敵意が潜んでおり、その敵意は反撃をよぶこともあります。そうして誹謗合戦を繰り返せば、両側の対立はますます深まるばかりです。互いの個人的な人間関係を根拠無く中傷しあうのは避けるべきです。

 離婚とは夫婦として破綻したことになるわけですから、同姓夫婦でも別姓夫婦でも、第三者からの意見でも、できる限り避けたいものです。「離婚しやすくなるような婚姻関係を築くべきではない」と考えるのなら、婚姻前に根拠無く離婚をうたがうよりも、婚姻関係を持続できるような方策を考えるべきです。

 氏の問題で婚姻届の受理を拒む制度を固持することこそ、離婚のハードルを下げることにつながります。手続きの量で比較すれば、別姓だろうと法律婚は事実婚よりも離婚後の手続きの煩雑さは多いはずだからです。

 繰り返しになりますが、離婚は夫婦の心から発生する問題です。制度で防げる問題ではありません。婚姻もそうです。制度が離婚を誘発するという発想は本末転倒で正しくありません。


 こうした誤解がより増幅され、斬新な書類手続きを空想する議員もいます。「夫婦別姓なら離婚しても氏が変わらないから気付かれにくい」ことから発想を得たのか、「離婚しても戸籍に傷が付かない」はたまた「離婚しても戸籍に×がつかない」等々と頓珍漢な主張を叫ぶ国会議員が法務部会でも見受けられるそうです。夫婦同姓か夫婦別姓かで戸籍への記載方法が変わることはありません。

 また、ある党の法務部会では「夫婦別姓を認めると重婚が増える」と危惧した市民もいたそうです。一般市民レベルで夫婦の婚姻状態を把握しづらいからといって、書類を受理する役所も同等と考えるのは激しい誤解です。役所が婚姻届を受理する時点で既婚者であることを見抜けなくなるはずがありません。

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