2色のガーベラ 夫婦別姓資料館

俗に離婚したことを「バツ」と表現することがあります。戸籍の削除様式から連想された表現ですが誤解も含まれているので整理します。

離婚すると、同一戸籍に記載されていた夫婦の片方が別の戸籍に移ります。離婚で誰かが移動した後の戸籍を見ると、別の戸籍に移った人物の欄が削除となりバツに見えます。これが由来です。そこから離婚経験者に回数も含め、バツイチ、バツニという表現があります。

しかし本来戸籍に見えるバツは離婚の印ではなく、除籍の印です。特定の戸籍から移動した人のみバツになるので、離婚した夫婦の両方にバツが付くのではなく、筆頭者ではない方のみバツがつきます。たいていは妻です。

多くの人が見落としていますが、バツは除籍の印なので、婚姻する時点で必ずバツを経験しているのです。なぜなら、婚姻する二人はそれぞれが記載されている父母の戸籍から移動になるからです。婚姻すると、夫婦は初婚なら父母の戸籍から除籍になり、新しい夫婦の戸籍に入籍します。戸籍では婚姻した時点で夫婦そろってバツイチです。

ですから「私はバツイチなの」と前に筆頭者ではなかった女性が「離婚経験が1回ある」という意味で使っても、戸籍上のバツの数は2つです。婚姻時に父母の戸籍から除籍し、離婚時に夫婦の戸籍から除籍になっているからです。また「オレはバツイチだ」と筆頭者の男性が「離婚経験が1回ある」という意味で使うなら、バツの時が間違っています。バツがついたのは離婚時ではなく婚姻時だからです。「オレの戸籍にはバツがひとつある(前に妻が記載されていたが除籍になった)」という意味なら間違っていませんが、そう理解して使う人はまずいません。

俗語としてバツが離婚を意味することはありますが、戸籍上のバツ(除籍)との違いは理解しておきましょう。除籍は離婚時だけではなく婚姻時にも発生することも。

ちなみに、実務担当者は「バツ」などとえげつない言い方はしません。「朱で交差」というそうです。紙の戸籍には削除の履歴が分かるように、かつ元の記録が読めるように、朱色で欄に交差するように罫線を引くのだそうです。ただし、戸籍謄本や抄本を出す場合にはコピーをとりますから、本当は赤なのに黒に見えるそうです。カラーコピーにすれば本来の赤が見えるかもしれません。

さらにバツは紙戸籍での習慣で、電子化された戸籍には罫線を引いて削除することはしません。電子化された戸籍では、更新された項目には外見上はアンダーラインがひかれたり、除籍された時期や理由が記載されます。またデータは除籍フラグのようなものを内部的に持つような仕組みになっているそうです。

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